予防接種の注射器使い回しはいつまで行われていた?

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集団予防接種の注射器使いまわしによりB型肝炎に感染してしまった方が少なくありません。注射器の使いまわしはいつまで行われていたのでしょうか。

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集団予防接種によるウイルス感染

予防接種の際に使われた注射器の使いまわしによりウイルスに感染してしまい、今でも多くの方々が苦しんでいます。なぜ、このようなことが起こってしまったのでしょうか。

「ツベルクリン反応検査心得」などでは、医師一人あたり1時間に120人程度の摂取が定められ、1959年(昭和34年)1月制定の「予防接種実施要領」では100人程度が目安とされました。このような状態の中では1人ごとの注射器を取り替えることができませんでした。

WHOは注射針のみならず注射筒の連続使用の危険性までも報告していました。しかし、国は注射器を使いまわせば肝炎になるおそれがあることを知りながらも安全性よりも効率性を優先してきたために、多くの方がB型肝炎に感染してしまいました。

注射器の使いまわしはいつまで行われていたか?

B型肝炎ウイルスが発見されて以降、B型肝炎について研究が進み1980年(昭和55年)には、厚生省が設置した研究班が医療機関における注射針の再使用の禁止と注射筒の減菌について指摘しました。また、集団予防接種、注射針やメスなどの連続使用による感染の危険性が報告されていました。

しかし、その報告は主に医療現場での対策を求めたものとして扱われ、集団予防接種における問題として扱われることはありませんでした。

1987年(昭和62年)に、WHOが肝炎感染の予防のため、注射針だけではなく注射器そのものの交換を勧告し、それを受けて、昭和63年1月に国は「予防接種等の接種器具の取扱いについて」(昭和63年1月27日健医結発第6号、健医感発第3号厚生省保健医療局結核難病感染症課長・感染症対策室長通知)によって「予防接種及びツベルクリン反応検査について、注射針及び注射筒を被接種者ごとに取り換えること」を自治体に通知して指導しました。

B型肝炎とは

B型肝炎はB型肝炎ウイルス(HBV)が血液・体液を介して感染して起きる肝臓の病気です。HBVの種類、感染した時期等により一過性の感染で終わる「一過性感染」とほぼ生涯にわたり感染が持続する「持続感染」に分けられます。

乳幼児がウイルスに感染した場合、身体の免疫機能が働かず、ウイルスが肝臓に溜まったまま感染状態が持続してしまいます。この状態を「無症候性キャリア」と呼びます。

その持続感染状態の乳幼児が大人になると、免疫機能がウイルスを異物と判断し、ウイルスを排除しようとして肝臓の細胞ごと破壊し始めます。これが慢性肝炎です。

さらには肝硬変、肺がんと進行することがあり、また、慢性肝炎、肝硬変の発症を経ず、いきなり肝がんを発症することもあります。

B型肝炎の症状

B型肝炎に感染した場合、ほとんどの方は自然治癒するのですが、なかには劇症肝炎になり命を落とす危険性があります。肝臓はもともと痛みなどの感覚を感じにくい臓器で、肝炎を起こしていても自覚症状がないことがあります。

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急性肝炎の場合は、全身倦怠感、食欲不振、吐き気、褐色尿、黄疸(おうだん:皮膚や眼の白目の部分が黄色くなる)などの症状が起こります。

集団予防接種によるB型肝炎の感染

国内のB型肝炎(ウイルス肝炎)の持続感染者は110~140万人存在すると推計されています。このうち予防接種またはツベルクリン反応検査などの集団予防接種などの際に注射器(注射針または注射筒)が連続使用されたことが原因でB型肝炎ウイルスに持続感染した方は45万人もいるとされています。

現在は注射器使いまわしは禁止されているため予防接種で感染することはありませんが、すでに感染している母親から生れた子どもに感染する危険性は十分にあります。

特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給

B型肝炎訴訟は、裁判所における和解協議によって原告団と国の間で、今後の被害者救済措置の「基本合意」が平成23年に締結されました。

翌年には「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が成立し、本格的に被害者への救済制度がスタートしました。

7歳になるまでに、集団予防接種など(昭和23年7月1日から昭和63年1月27日までの間に限る)の際の注射器の連続使用により、B型肝炎ウイルスに感染した方と、その方から母子感染した方(これらの方々の相続人を含む)に対して、病態に応じ50万~3600万円の給付金が支給されます。

給付金の対象者

特定B型肝炎ウイルス感染者給付金の対象者は以下のようになります。

①昭和16年7月2日から昭和63年1月27日までに生れた方
②満7歳になるまでに集団予防接種を受けている方
③B型肝炎ウイルスに持続感染している方

給付の対象となる方の認定は、裁判所において、救済要件に合致するかどうか、証拠に基づき確認していくこととなります。このため、この給付金を受け取るためには、国を相手とする国家賠償請求訴訟を提起して、国との間で和解などを行わなくてはなりません。

訴訟と聞くと法律の知識が必要で難しく感じるかもしれません。

しかし、和解が成立することにより受け取る権利のある給付金が支給されるのです。

自覚症状のない「キャリア」の場合も給付金が支給されます。また、以前に給付金を受け取っている方でもB型肝炎の症状が進んでしまった場合には差額が支払われます。

ご自分が「もしかして対象者なのでは?」と思った場合は、まず弁護士に相談してみましょう。弁護士費用として、給付金の4%の補助金が国から支給されます。

請求期限は平成29年1月12日までです。控訴は時間がかかるため後回しにせず、まずはご自分が対象なのかを知ることから始めましょう。

 

まとめ

集団予防接種などにより感染者が増えてしまったB型肝炎。「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」の施行により給付金が支払われることになりました。訴訟と聞いてハードルが高く感じたり、知識がないからと諦めてしまったりせずに、まずは専門家に相談してみましょう。

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