精進料理とは?精進落としで肉を食べるのはなぜ?

精進料理の由来や使われる食材、そして葬儀のあとの「精進落とし」でなぜ肉を食べるのかについて書いています。

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精進料理の由来

  • ●精進料理とは

「精進(しょうじん)」とは、戒律(かいりつ:僧が守るべき規則)を守って、正しい行いをするためにひたすら努力することをいいます。

戒律には、「生命を殺さない」ことが含まれるため、肉を使わずに野菜や穀物、豆類を使った食事を精進料理を呼ぶようになりました。

ただし、インドの初期のころの仏教では、自ら殺したのではない肉や、殺すところを見ていない肉は食べることを許されていました。

厳密な菜食主義がとられるのは、大乗仏教の成立後のことで、現在の精進料理の起源は中国・朝鮮にあります。

  • ●精進料理の原形

精進料理の原形は、禅宗の僧侶が中国から輸入してきたものです。仏教の「八正道(はちしょうどう)」、大乗仏教の「六波羅蜜(ろくはらみつ)」などに説かれる「精進」つまり一心に仏道にはげむ行為が「精進潔斎(しょうじんけっさい)」というように菜食に転じました。

(精進潔斎:肉・魚などを口にせず、心身を清浄な状態におくこと)

これが「浄(きよ)め」や「物忌(ものいみ)」を大切にする日本の伝統的習慣とかさなりあい肉食をさけて野菜だけで調理する精進料理なったのだと考えられています。

  • ●道元の典座教訓(てんざきょうくん)

日本で精進料理が大きな意味をもつようになったのは、道元が「典座教訓(てんざきょうくん)」を著し、「食」を禅の修行のひとつと位置づけるようになってからのことです。

「典座」とは、禅の食事を担当する人のことです。「典座教訓」では調理の心得を貴心(きしん:心から喜んで調理する)、老心(ろうしん:生きとし生けるものへの慈しみの思いをもつ)、大心(たいしん:偏りのなり心で調理し、食材を切る大きさにも配慮する)と説いています。

このため、精進料理では食材を決して無駄にしません。禅寺の夕食に出される雑炊や、建長汁(けんちんじる)、がんもどきなどは残り物を生かす工夫から生まれた料理です。

  • ●精進料理の味の基本「五法」、「五味」、「五色」、「五葷」

また、典座は精進料理の調理の基本である「五法(ごほう)」、「五味(ごみ)」、「五色(ごしき)」、「五葷(ごくん)」を守り、栄養バランスが偏らないように工夫されています。

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五法:「生・焼く、煮る、蒸す、揚げる」の5つの調理法のことをいいます。修行で疲れていても食べられる工夫がされています。

五味:「甘い、塩辛い、酸っぱい、辛い、苦い」の5つの基本の味です。淡味(たんみ)といって、淡い味を「六味」とすることもあります。

五色:食材は5色で分類されます。「白」は米、「赤」は小豆、「黄」は根菜類、「緑」は緑黄野菜、「黒」は茸(きのこ)などです。

五葷(ごくん):五葷とは食べてはいけない食材です。ネギ、ニラ、ラッキョウ、ニンニク、ノビルなどの臭いが強い食材は周りに迷惑をかけるため禁止とされています。

和食に欠かせない食べ物も禅を起源とするものが数多くあります。コンニャクや湯葉(ゆば)、豆腐、麩(ふ)、胡麻豆腐、納豆などは禅僧が中国から日本に伝えたり、禅寺で食されていたことで普及しました。

茶会で出される懐石料理の「懐石」も、起源は禅です。修行中の禅僧が空腹や寒さをしのぐために温めた石を懐(ふところ)に入れていたのが始まりとされています。

  • ●禅が起源の食べ物

コンニャク:仏教の伝来と共に伝わったといわれています。禅寺ではお腹を掃除するだけでなく、煩悩も追い出すとされています。

湯葉(ゆば):鎌倉時代に中国の禅僧が伝えました。大豆をしぼった豆乳を煮詰め、表面にできた膜をすくってつくります。

豆腐:発祥は中国で12世紀頃に日本に伝わりました。水に恵まれた京都の禅寺で鎌倉時代から盛んにつくられました。

麩(ふ):水で練った小麦粉のグルテンからつくります。中国の禅僧が日本に伝えました。一休が考案した大徳寺麩(だいとくじふ)が有名です。

胡麻豆腐:胡麻をすって吉野葛(よしのくず)と混ぜ、ペースト状になるまで煮て、冷やして固めます。鎌倉時代から広まりました。

納豆:中国から伝来したとされ、当初は糸をひかず塩辛い発酵保存食品でした。京都の大徳寺納豆が有名です。

精進落としで肉を食べるのはなぜ?

お葬式で火葬をすませた当日、通夜から葬儀一切にわたってお世話になった人々(僧侶、世話役、近親者、知人など)に感謝と慰労の心をこめておもてなしをします。これが「精進落とし」です。

地方によっては「直会(なおらい)」とよぶところもあります。

「精進落とし」とは、精進料理を断つという意味なので、肉や魚を使った料理を用意します。このときには霊前にも同じものをお供えします。

本来の精進落としは、四十九日の忌明けに精進料理から通常の食事に戻すことをいいます。精進明け、精進上げとも言います。

しかし近年では、火葬場から戻った後に行う初七日法要の際に、僧侶や世話役、親族などの労をねぎらう宴席において精進落としが行われることが多くなりました。

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まとめ

精進料理や懐石料理は、禅が起源です。和食の基本になる食材、コンニャクや湯葉(ゆば)、豆腐、麩(ふ)、胡麻豆腐、納豆なども禅を通じて日本に入ってきました。雑炊や、建長汁(けんちんじる)、がんもどきなどは食材を無駄にせず残り物を工夫して作られた精進料理でした。

精進落としは、もともとは四十九日の忌明けに精進料理から通常の食事に戻すことをいいます。肉を食べるのは、精進料理を断つという意味だからです。

近年では、火葬場から戻った後に行う初七日法要を行い、精進落としをします。葬儀の列席者に感謝と慰労の心をこめておもてなしをします。

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